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こどものCPR [講習会]

心肺蘇生に関する最新ガイドラインのお勉強を続けます。
論文・ガイドラインの英文と、その和訳をブログにするのは久しぶりですが楽しいですね♪
実は諸事情でここ数日は関連論文を読んでいるので、そのメモを兼ねていますゞ

さて以前記事にした通り、ガイドライン策定よりも前に、
ガイドラインの根拠となるコンセンサス[IRCOR]が策定されています。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2010-09-29
このIRCORの策定にこそ、かなり長い時間がかかっているそうです。

具体的には、3年前(2007年)にすでに
話し合いメンバーや蘇生に関する情報(論文)を解析する担当者が決まり、
2010年の初めに解析を終了、2月にコンセンサス会議が開かれて
その後、コンセンサスとしてまとめていき10月にIRCORとしてリリースされたと聞いています。

しかし今日紹介する論文は、2010年4月に有名な医学雑誌の一つであるLancetに載った
日本のグループが行った研究結果ですが、2010年版コンセンサス・ガイドラインに採用されています。
この論文が出た時には、すでに締め切りをすぎているので
今回のガイドラインには盛り込まれないのでは・・?と思いましたが、
内容的にもインパクトが強かったので、特別に採用されたのかも知れません(^^)

Conventional and chest-compression-only cardiopulmonary resuscitation by bystanders for children who have out-of-hospital cardiac arrests: a prospective, nationwide, population-based cohort study
(T Kitamura. et al., Lancet 2010; 375: 1347-1354)

Abstractを見てみると、こんな感じです。
(以下、引用分)
Background
The American Heart Association recommends cardiopulmonary resuscitation (CPR) by bystanders with chest compression only for adults who have cardiac arrests, but not for children.
We assessed the effect of CPR (conventional with rescue breathing or chest compression only) by bystanders on outcomes after out-of-hospital cardiac arrests in children.

Methods
In a nationwide, prospective, population-based, observational study, we enrolled 5170 children aged 17 years and younger who had an out-of-hospital cardiac arrest from Jan 1, 2005, to Dec 31, 2007.
Data collected included age, cause, and presence and type of CPR by bystander.
The primary endpoint was favourable neurological outcome 1 month after an out-of-hospital cardiac arrest, defined as Glasgow-Pittsburgh cerebral performance category 1 or 2.

Findings
3675 (71%) children had arrests of non-cardiac causes and 1495 (29%) cardiac causes.
1551 (30%) received conventional CPR and 888 (17%) compression-only CPR.
Data for type of CPR by bystander were not available for 12 children.
Children who were given CPR by a bystander had a significantly higher rate of favourable neurological outcome than did those not given CPR (4·5% [110/2439] vs 1·9% [53/2719]; adjusted odds ratio [OR] 2·59, 95% CI 1·81—3·71).
In children aged 1—17 years who had arrests of non-cardiac causes, favourable neurological outcome was more common after bystander CPR than no CPR (5·1% [51/1004] vs 1·5% [20/1293]; OR 4·17, 2·37 7·32).
However, conventional CPR produced more favourable neurological outcome than did compression-only CPR (7·2% [45/624] vs 1·6% [six of 380]; OR 5·54, 2·52—16·99).
In children aged 1—17 years who had arrests of cardiac causes, favourable neurological outcome was more common after bystander CPR than no CPR (9·5% [42/440] vs 4·1% [14/339]; OR 2·21, 1·08—4·54), and did not differ between conventional and compression-only CPR (9·9% [28/282] vs 8·9% [14/158]; OR 1·20, 0·55—2·66).
In infants (aged <1 year), outcomes were uniformly poor (1·7% [36/2082] with favourable neurological outcome).

Interpretation
For children who have out-of-hospital cardiac arrests from non-cardiac causes, conventional CPR (with rescue breathing) by bystander is the preferable approach to resuscitation.
For arrests of cardiac causes, either conventional or compression-only CPR is similarly effective.

(以上、引用分)
いつもの様に雑な日本語訳ですがゞ 以下の通りです。

(以下、和訳分)
<背景>
AHAは、心停止になった成人にはハンズオンリーCPRを勧めているが、小児は勧めていない。
そこで、院外で心停止になった小児にCPR(従来通りの人工呼吸あり または 胸骨圧迫のみ)をする効果について評価した。

<方法>
日本全国で前向きな集団ベースの観察研究を行い、2005年1月1日から2007年12月31日までに、院外心停止となった5179例の17歳以下の小児が登録された。
年齢・原因・そしてバイスタンダーの有無やCPRの種類を集積した。
最初のエンドポイントを院外心停止から1ヵ月後の神経学的結果とし、Glasgow-Pittsburgh脳性所見カテゴリー1/2で評価した。

<結果>
3675例(71%)の小児が心臓以外の原因で心停止になり、1495例(29%)が心臓が原因だった。
1551例(30%)が従来通りのCPRを、888例(17%)が胸骨圧迫のみのCPRをうけた。
CPRの種類が分からないのが12例あった。
バイスタンダーCPRをうけた小児では、CPRをうけなかった小児に比べて、著明に良好な神経学的所見を示す率が高かった(オッズ比2.59)。
1-17歳の小児で心臓以外が原因だった心停止患者では、CPRをされなかったのに対して良好な神経学的結果が多かった(オッズ比4.17)。
しかしながら、従来のCPRの方が胸骨圧迫だけのCPRよりもより良い神経学的結果が得られた(オッズ比5.54)。
1-17歳の小児で心臓が原因の心停止だった場合には、CPRなしよりもバイスタンダーCPRをうけた方が神経学的に良好な結果が多く(オッズ比2.21)、従来のCPRでも胸骨圧迫のみのCPRでも違いはなかった(オッズ比1.20)。
1歳未満の乳児の結果は概して悪かった(良好な神経学的結果は1.7%)。

<解釈>
院外で心臓以外の原因で心停止になった小児には、従来のCPR(人工呼吸も含む)をバイスタンダーが行う事が酔いよい蘇生といえる。
心臓が原因の心停止には、従来のCPRでも胸骨圧迫のみのCPRでも同じように効果がある。

(以上、和訳分)

なにせ数が多く、全国的なデータの解析なので、インパクトが大ですね。

結果として、心停止の患者さんが小児であっても
(当然ですが^^)とにかく何らかのCPRをした方が良いし、
心臓以外が原因の時には(喘息重積なども含まれるでしょう)
人工呼吸と組み合わせた30:2、あるいは救助者2人なら15:2のCPRが良いというわけですね。
小児の院外心停止の原因の7割がこの”心臓以外が原因”という点も注目です。

ところで、日本人が発進するエビデンスという視点で見ると、
成人の目撃のある心停止では、胸骨圧迫のみのCPRでも従来のCPRと同等の効果がある
(というよりむしろ、胸骨圧迫のみのCPRの方が良好な結果だった)という論文も日本人のグループが発表し、
ガイドライン改正の間だった2008年にも関わらず、AHAの勧告が変わった事もありました。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-02-15
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2010-12-02

自分が関与しているわけではありませんが、何だか嬉しいものです(^^)
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Pin-BOKE

CPRのサイエンス勉強になりましたし、
個人的にも本当に助かりました。m(._.)m
by Pin-BOKE (2011-08-27 09:36) 

Kite

何かのお役にたてていれば光栄です(^^)
by Kite (2011-08-28 09:49) 

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